February 4, 2011

初めてのナパ・ヴァレー 

木下陽子
プロフィール:米、オハイオ大学卒.2004年からラマーサで働く.2006年エルフォゴンオープニングスタッフ.日本ソムリエ協会認定ソムリエ.同協会関西支部委員.2011年現在入社7年目.

カリフォルニアに行こうと思ったきっかけ

はじめに、日本ソムリエ協会の機関誌 Sommelier111号は私にとって記念すべき機関誌でした.理由は2つあるのですが、1つはソムリエ合格者名簿の中に私の名前が入っていたからと、もう1つは60ページにYOSHIKIとモンダヴィのコラボレーションワインの記事が載っていたからです.何を隠そう私は小学生の頃から(かれこれ20年前)X JAPANの大ファンでワイン好きで有名なYOSHIKIさんの影響でワインを飲み始めたと言っても過言ではない程好きなので、「いつかはヨシキワインの作られたFOLIO※(The Michael Mondavi Family Winery)を訪ねにナパに行けたら」と願っていました.

認定試験から1年が経ち、その間もソムリエ受験勉強で学んだ知識を忘れない為にも勉強を続けていた私に神が舞い降りてきました.X JAPANの北米ツアーが2010年9月下旬から10月にかけて行われるとの事で、ツアーの合間にナパに行こうと思い、迷う事なく旅行の手配をしました.子育てや仕事の調整をし、8泊11日(9/24〜10/4)で航空券を押さえました.

ガイドブックを買い、サンフランシスコのページを見ていた所、「ワイントレイン」なるものがある事を知り、船とシャトルバスでナパまで行ける事がわかりました.ソムリエの大先輩にも「一度はワイントレインに乗ってみた方がいいよ」とアドバイスを頂いたので、「1人で不安だが何とかなるだろう」と決意しました.毎日Google MapFOLIOの地図を見ているうちにナパに行きたい気持ちがどんどん強くなってきました.偶然にも私の一番好きなアルバリーニョ種で作られた「フィジャボア」というスペインワインはFOLIOのものだという事がわかり、スペインに畑を持つカリフォルニアワインメーカーの新しい取り組みを見に行くという目的も出来ました.

現地ではどういうふうにワイナリーを旅したか?

サンフランシスコから船とシャトルバスでナパのワイントレイン駅に着きました.通常はここで皆さんはワイントレインに乗車されるのですが、「せっかくナパに来たのだから一泊ぐらいしたい」と思っていた私はタクシーを呼んでもらい、滞在先のヒルトンホテルに連れて行ってもらいました.ホテルに着くとすぐ、受付の方に「FOLIOに行きたい」と言って電話をしていただきました.「ティスティングギャラリーなら自由に来て下さい」、との事でした.

11:30、ホテルから車で南へ15分の所にFOLIOはありました.ワイナリーに着くなり、アシスタントの女性に自己紹介をしました.私の働くレストランでも彼らの所有するスペインワインを売っていた事を伝えると凄く喜んでくださりました.あいにく社長のマイケル氏は不在だったのですが、マネージャーのトレイシーが出てきてワイナリーを案内してくれました.彼女は数ヶ月前に入社したばかりなのでヨシキワインの事は知らなかったのですが樽の倉庫で働いている人に聞いてくれました.その人は当時の事を覚えていたようで、「あれはマイケルではなくて、息子のロバートJrが作ったのだよ」と教えてくれました.「え〜!そうだったのですか?」とビックリ!「ではそのロバートはいるのですか?」と聞いていたら少し離れた所にロバート本人が!私を見て、ちょっと驚いた様子.すぐにトレイシーが私の事を説明してくれ、忙しいのに話してくれました.実はロバートも前日にオークランドで行われたX JAPANのコンサートに来ていたようで、「昨日のコンサートは良かったね〜」と話しながら意気投合しました.日本を発つ前にワインアドバイザーの先生から「ワイナリーを訪問する時はお土産を持って行った方が良い」とアドバイスして頂いたので、コンサートで買ったTシャツをプレゼントしたら凄く喜んでくれました.この秋にYOSHIKIさんと「第二弾」をつくる事も教えてくれました.一緒に写真を撮って欲しいというと、はじめは普通にポーズをしていたのに、「僕たちはやっぱりこうしないと」と言って、“Xポーズ”で写真を撮り直してくれました.WE ARE X!

ロバートに別れを告げ、再びティスティングルームへ.ティスティングで一番気に入ったロバートの造ったワインを購入しました.2007 Hillside Reserve, Napa Valley Cabernet Sauvignon.こちらのワインは先日ソムリエの大先輩とBYOで楽しみました.ナパの旅を思い出しながら飲むワインは格別でした.



FOLIOの葡萄畑はとても綺麗でした(写真).葡萄の木の端には薔薇の花が植えられていて、その理由は、害虫から葡萄を守る為だそうです.害虫はまず、薔薇の蜜を吸いにくるので、薔薇が弱っていれば、葡萄も危険信号という訳です.

The Michael Mondavi Family Winery

(※文中ではFOLIOと明記しましたが、最近になってワイナリー名がThe Michael Mondavi Family Winery に改名されました.理由は、ティスティングギャラリーで注がれる7つのレーベルのワインは全てマイケルモンダヴィ氏と彼の家族のものだという事を明確にする為です.「FOLIO」と言う名前だとわかりにくく、ティスティングギャラリーに訪れる人達が他の生産者のワインを注いでいると勘違いされるのだそうです)

住所 1285 Dealy Lane, Napa, California
営業時間: 日曜日から土曜日 11-5

年中無休(元旦、クリスマス、感謝祭、復活祭の日曜日は休み)

(ティスティングは予約不要、ツアーは要予約)

The Michael Mondavi Family Winery を訪ねた後も、いくつかのワイナリーをめぐりました.カリフォルニアでは珍しいテンプラニーリョをつくっている【Robledo Family Winery】(日本未入荷)、モエ・エ・シャンドン社がカリフォルニアにて製造販売している【Domaine Chandon】. そして地元の方おすすめの、【fleury】(日本未入荷). 特に日本未入荷のワイナリーは日本進出に意欲的で「インポーターの方を紹介して下さい」と言われました.

旅を終えての印象

次の日は「ワイントレイン」に乗り、ナパバレーを時速30キロでのんびり走りながらランチを楽しんだり、観光客と一緒にガーギッジヒルズエステートに行ったり、それなりに楽しめましたが、やはり個人でワイナリーを訪れた事が今回の旅で一番勉強になりました.ワインについて熱く語る生産者の方々の姿を見て、私ももっと頑張ってワインを売らなければ!という気持ちになりました.


あとがき:

今回の旅のきっかけになったYOSHIKIさんはこの原稿を書いている11月にロバートとヨシキワインの第二弾のブレンディングをされたそうです.北米ツアーを大成功させ、世界デビューを果たしたYOSHIKIさんと、FOLIOからThe Michael Mondavi Family Wineryに改名し、新たなスタートを切ったロバートから今後ともますます目が離せません.