May 30, 2012

世界禁煙デーイベントのご報告

←クリックすると拡大します。
(上:京都新聞、下:毎日新聞 ともに2012年5月27日)
5月26日、JR二条駅横の京都府医師会館で行われた「世界禁煙デーイベント」にパネリストとして講演させて頂きました。会場には約400人もの参加があり、立ち見で聴いておられる方もいらっしゃいました。
全国に先駆けて「受動喫煙防止条例」が施行された神奈川県で、14年前から飲食店を完全禁煙にされたハングリータイガーの中田有紀子取締役の基調講演に続き、禁煙治療に詳しいやすだ医院の安田雄司院長がタバコの害について詳しく説明されました。


その後、パネルディスカッションに移り、京都と東京に完全禁煙のイタリアンレストラン4店舗を構えるイルギオットーネの笹島保宏シェフは「レストランの語源には『明日の活力を生む場所』という意味があり、心身が健康になるための場所でありたい」と、この日の為に東京から熱いメッセージを伝えにきてくださいました。
笹島さんは、タバコは20年前にやめられたそうで、今回の出演依頼は私がしたのですが、その時から頭の片隅に「タバコ」の事があったせいか、タバコを吸う夢を見て、夜中に汗だくで起きたほど、気にかけてくださっていました。(笹島さん、すみません)
タバコをやめたらご飯がおいしく感じられるといいますが、笹島さんの場合は「水の味がわかるようになった」ということです。京都の水で昆布だしを取るとき、水に一晩浸けるだけで出汁がでるのですが、東京の水ではそうはいかず、沸騰しなければ出汁が出ないそうで、その上他の調味料も加えるのであんなに濃い味なのだそうです。


300人全社員の禁煙を実現した中野製薬株式会社、中野耕太郎社長の「全社非喫煙までのプロセス」はこれから職場の禁煙に取り組む事業所への参考になったと思います。
300人の全社員を非喫煙にする為、社内の掲示板に非喫煙者と喫煙者の表を張り出されました。年々喫煙者が禁煙に成功し、残り4人になったところで「全社員非喫煙」とアナウンスされました。その中の一人で、最後まで喫煙をやめなかった従業員が病気になり、大事には至らなかったのですが、退職の際、「あの時禁煙して本当に良かった」と言われて、中野社長も目頭が熱くなったとおっしゃっていました。
全社員の非喫煙を達成した中野社長は、次は事業所に出入りする業者にも禁煙をお願いされました。喫煙する業者は吸い貯めしてから事業所に入ってくるので、呼出煙(タバコを吸う人が吐き出した煙
により社員が受動喫煙の被害に遭います。「来社する一時間前から禁煙」のお願いをしたときは喝采もあり、ブーイングもあったようですが、今では業者もそれに賛同しておられるようです。

バハルボールからは私、木下陽子が弊社の「禁煙活動のあゆみ」について、4店舗の事例、グルメサイト禁煙スタイルの紹介、禁煙店で成功するポイントについてお話しさせて頂きました。
2003年の健康増進法をきっかけにお店での受動喫煙について考えるようになり、本店のラマーサの分煙をスタートさせました。お客様に喫煙の有無を聞いてテーブル配置を考えたり試行錯誤しましたが、分煙で受動喫煙は防止できないという結論に至り、全席禁煙に踏み切りました。エルフォゴンもラガジェガもオープン当初はバルスペースで喫煙できたのですが、レストランに力を入れ始め、従業員の健康維持の為や、深夜営業の廃止をしたりするうちに、全席禁煙に変わっていきました。時代の流れか、2008年に4店舗目のフイゴをオープンした時は自然と最初から禁煙で行こうとなりました。今では売り上げも喫煙席があった時と比べ、2割ほど増えました。ソムリエの立場から、ワインをティスティングする時は無煙の環境がベストな事、その為にも禁煙店を積極的に利用して頂くようにお願いしました。これからも、誰もが楽しめるレストランを作って行きたいですし、一日も早く海外のように飲食店の禁煙が条例化され、受動喫煙のない時代が来ることを願っています。
bajarbol ソムリエ 木下陽子